ご挨拶・保護者の方へ


 はじめまして。JAPSEL kid's atelier代表講師をしております、保田智美(ほだともみ)と申します。

この度は、当ホームページをご覧いただきましてありがとうございます。

 ここでは、私の指導に対する考えと、実際行っている指導や、ご家庭でのちょっとした心遣いについて、少し触れさせていただきます。少々長いですが、ぜひご一読いただき、ご理解いただければ幸いです。

 

 私は、絵画や工作の過程において、子どもの自主性・自発性を大切にし、子どもの「本当の表現力」を養うことを目的とした情操教育を行っております。

 「表現力を養う」という漠然とした言葉のスローガンは、芸術教育の中で頻繁に使われています。しかし、「本当の表現力」を養うことは、学校教育などでの週一度のわずかな授業時間内で行えるほど、実は容易なことではありません。

 そもそも美術分野における「表現力」とはなんでしょうか?これは、「自分のその時の感情や思考・意志などを、目に見える形として残す」ことです。この一文で大切な言葉は「自分の」であることです。この「自分の」は「個性」と同義でもあります。

 養育期にあたる子どもは、じょじょに自我が芽生えながらも、同時に保護されることも本能的に学習していきます。これは、見方を変えると、大人の態度には、とても敏感に反応しながら自我を形成しているとも言えます。子育てをしていれば、それぞれの家庭で「こんな子に育ってほしい」という理想が自然に芽生えますが、そのような親の思いは、日々の親の言動に自然に現れ、子どもは保護されたい本能で、その理想像に少しでも近づこうと、子どもなりの努力を重ねます。しかし、子どもは子どもで親とは別の人間ですから、だんだんと「自分の感性に従順に」意志や思考を育み始めます。これが自我の芽生えです。ところが、つい大人に忘れられがちなことが発生します。それは「子どものその時の本当の感性」に寄り添うことです。

 「ピーターパンは子どもにしか見えない」という話は有名なファンタジーですが、これは、子どもの独特な感性は大人になると多くの人が忘れてしまうということの喩です。人間は誰しも、自分に必要なことを正しいことと判断し、正しいこと、正しくないことを常に選別し、自分にとっての正を選んで生きています。これは個人の人間的な成長の過程で必然でもありますが、この無意識の「くせ」は、時に子どもの表現力を養うときには仇になってしまうことが有ります。

 例えば、大人がかわいいと思う子どものイメージから、わが子が外れた瞬間を認められない、などです。

 「大人(特に親や身近な大人)が子どもをかわいい」と思うことは当然のことですが、それは愛しさゆえのかわいさです。愛しいわが子には常にかわいくあってほしいと思う大人の願いに、子どもは忠実に応えようとします。しかし、子どもには子どものその年齢ごとの独特の世界観が有り、また「正しいことは一つ」という考えから離れられないと、理解しがたい、独特の感性が有ります。その感性を受け入れて肯定してあげること、それが結果的に個性を育むことに繋がります。

 私は、本当の表現力を養うためには、子どもが自然と、自分の個性に自信を持つことが大切だと考えています。私が、指導の中で一番心がけていることは、表現を行うときくらい大人の顔色をうかがわずに伸び伸びと楽しみながら、その過程において、色々な発見を自分でして、発見できた自分に自信を持ったり、発見する喜びに感動をしてほしいということです。子どもの発見と感動は本当にささいなことで起こります。たまたま絵の具が画面で混ざって形や色が変わっていく様子を見ると、他の色も混ぜてみようと思います。どんどん絵の具が混ざると結果的には、黒っぽくなってしまいます。すると、大人の目から見ると、汚いとか、暗いととらえれれることもあります。しかし当の本人は、どんどん色が変わっていく過程を「きれい!」と思って感動していたり、きれいとは思わなくても「次はどうなるか?」を知りたくて、どんどん試していきます。

 また、ボンドを使えば、手についたボンドが乾いて取れなくなって困っていたのに、指と指をすり合わせていたら「皮がむけるみたいにきれいに取れる!」という発見をします。そして、その感覚を面白い!と感じたり、気持ち良い!と感じたり、汚くて気持ち悪い!と感じます。このように、子どもの発見は、大人からすると、本当に小さなことがほとんどです。

 感動とは、心が自由に開放されているときに起こります。ですから、「先生やお母さんに褒められるようにうまく描かなければいけない」とか、「きれいに作らなければいけない」という気持ちが優勢になると、過程における発見をしても感動している余裕が有りませんので、結局心に残りません。心に残らないと自信にも、次への意欲にも繋がりません。自信や意欲が湧かないといつまでも大人が喜ぶことをするだけとなり、これでは、本人にとって、いずれ面倒で意味のないことになります。もちろん、「本当の表現」からはかけ離れてしまいます。

 「本当の表現力」とはその年齢でしか感じられない感性や思考・意志によって生み出されます。これがしっかりと自信を持ってできるようになると、それは結果的な作品としても反映されるようになっていきます。また、自信が有ると、適切に自分で考え、情報を収集し、その中からさらに考え、判断を行い、行動に移せるようになります。この積み重ねがしっかりとできるようになると、自分の考えや行動に自信が持てますので、ひいては、より多くの可能性に向かって進むことができる人間に成長できます。

 

 まずは、わが子の作ってきたものに心から寄り添い、肯定し、思いきり褒めてあげてください。心から寄り添うとは、関心を持って見てあげることです。見た中で、思ったことを肯定的な言葉に置き換えて伝えてあげてください。制作過程がどうであったかも聞いてあげてください。「楽しかった」「がんばった」など漠然としたことを答えられたら「どんなところが?」と聞いてあげてください。わからないことがあれば、「これはなに?」と聞いて答えさせてください。答えたらまた、褒めてあげてください。そして、最後に「今度はこんな風にしても良いんじゃない?」と提案をしてあげたり、明らかにいつもより雑な場合は「丁寧に描くことの大切さ」などを伝えてください。そして、次の目標を「お父さんやお母さんとの約束」として立てられるとなお良いです。(先生(私)との毎回の目標は個別に皆立てています。)

 この繰り返しがあってこそ、絵画の指導時間が活かされます。自信や表現力・個性を養うことは、日々の計算練習や英単語や漢字の練習と同様に、とても地味で、時間がかかりますが、どうぞご理解とご家庭でのご協力をお願いいたします。

 

         2013年5月  保田智美 記